くすりには、その有効成分の種類や使用目的によって、色々な形があります。
市販のくすりでよく見られる、 錠剤やカプセル剤、顆粒剤は、口から飲むためのものです。
風邪薬、胃腸薬、栄養剤などによく使われています。
お医者さんがしてくれる注射・点滴などの「注射剤」は くすりを血液の中に直接入れるために作られた形です。
また、ねんざ・打ち身の治療や皮膚病に対し使われるくすりは、貼付剤・軟膏あるい はゲルなどの「外用剤」です。
これは貼ったり塗ったりした部分に直接効果を与えるた めに作られた形です。
しかし最近では、皮膚に貼って効く「狭心症予防薬」や「ぜんそく 治療薬」も登場しています。
これは皮膚からくすりを染みこませて血液の中に入れることを目的として作られたものなんですよ。
皮膚からくすりを染みこませるタイプのものを「経皮吸収製剤」と呼び、ごく最近になって 狭心症予防薬・ぜんそく治療薬・更年期障害治療薬などに応用されてきました。この形のくすりには、
●皮膚の壁を乗り越える
しかし、くすりをこの形で使えるようにするためには、大きな壁を乗り越えなくてはなりません。 その壁とは一体なんでしょうか?
それは…
人間の皮膚そのものなんです。
皮膚は、真皮・表皮という組織の上を角質層と呼ばれる組織が覆っています。
表皮は5つの層に分かれており爪のように下から生まれてきて 角質層(あか)になってはがれ 落ちます。
この天然のバリアーは、厚さ1000分の10~20ミリメートルという非常に薄いものですが、極めて 強固で有効に働いています。ですから、普通の状態ではくすりは皮膚の中にまで浸透 することができないのです。くすりを効かせるためには、できるだけ皮膚を痛めずに バリアーを壊す必要があります。
他にも、
など、多くの方法が研究されているんですよ。